経営・管理ビザ~事務所の確保~
事務所の確保
「経営・管理ビザ」を取得するためには事業を営むための事務所を「確保」している必要があります。事業の開始後は事務所が「存在」している必要がありますが、開始前であっても事務所が「確保」されている必要があります。
事業所の確保に関しては、出入国在留管理庁のガイドラインでも紹介されており、条件を満たしていれば、事業所の確保に適合していると認められます。「経営・管理ビザ」の場合、事業の継続的に運営されることが求められるので、以下のケースは事務所の確保に適合しているとは認められません。
・月単位の短期間賃貸スペース等
・容易に処分可能な屋台等
月単位の短期間の賃貸借契約や、移動可能な場所は事務所として認められません。また、事務所は独立したスペースが求められ、他のスペースと明確に区切られている必要があります。他の事業者とのシェアオフィスや、バーチャルオフィスでは許可はおりません。
事務所の契約時の注意点
事務所については、賃貸物件が一般的でありますが、賃貸物件に係る賃貸借契約者について、以下のような注意点があります。
①使用目的
使用目的は「事業用」「事務所」「店舗」等、事業目的であることが明らかであること。
②契約者名
契約者は法人名義として、法人の使用が明確であること。
使用目的が「住居」や、契約者名が個人では事務所の確保は認められません。
自宅を事務所として使用する場合の注意点
基本的には、自宅を事務所として使用する場合、経営管理ビザを取得できません。例外的に自宅を事務所として認められるケースが、一軒家などで1階は事務所、2階は居住と明確に分けられている場合のみです。マンションの場合、いくら部屋数が多くても事務所としては認められません。また、貸主との間で「会社の事務所」として使用することを認めるとする特約を交わすことや、看板の設置などの条件も必要となります。
①住居目的以外での使用を貸主が認めていること
事業所として貸主と当該法人との間で転貸借されることに貸主が同意していること。
②事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること
一軒家で居住スペースと事業用スペースが1Fと2Fで明確にわかれているような場合のみ該当します。
③物件にかかる公共料金等の共用費用の支払いに関する取り決めが明確になっていること
居住用と事業用の公共料金の支払い割合の取り決めを行っている必要があります。
④看板等の標識を掲げていること
事務所確保が認められたケースと認められなかったケース
では、実際に事務所確保が認められたケースと認められなかったケースを事例で見ていきましょう。
【事例1】
Aは,本邦において個人経営の飲食店を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが,事務所とされる物件に係る賃貸借契約における使用目的が「住居」とされていたものの,貸主との間で「会社の事務所」として使用することを認めるとする特約を交わしており,事業所が確保されていると認められたもの。
【事例2】
Bは,本邦において水産物の輸出入及び加工販売業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったところ,本店が役員自宅である一方,支社として商工会所有の物件を賃借していたことから,事業所が確保されていると認められたもの。
【事例3】
Cは,本邦において株式会社を設立し,販売事業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが,会社事務所と住居部分の入り口は別となっており,事務所入り口には,会社名を表す標識が設置されていた。また,事務所にはパソコン,電話,事務机,コピー機等の事務機器が設置されるなど事業が営まれていることが確認され,事業所が確保されていると認められたもの。
【事例4】
Dは,本邦において有限会社を設立し,当該法人の事業経営に従事するとして在留期間更新許可申請を行ったが,事業所がDの居宅と思われたことから調査したところ,郵便受け,玄関には事業所の所在を明らかにする標識等はなく,室内においても,事業運営に必要な設備・備品等は設置されておらず,従業員の給与簿・出勤簿も存在せず,室内には日常生活品が有るのみで事業所が確保されているとは認められなかったもの。
【事例5】
Eは,本邦において有限会社を設立し,総販売代理店を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが,提出された資料から事業所が住居であると思われ,調査したところ,2階建てアパートで郵便受け,玄関には社名を表す標識等はなかったもの。また,居宅内も事務機器等は設置されておらず,家具等の一般日常生活を営む備品のみであったことから,事業所が確保されているとは認められなかったもの。
【事例6】
Fは,本邦において有限会社を設立し,設計会社を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが,提出された資料から事業所が法人名義でも経営者の名義でもなく従業員名義であり同従業員の住居として使用されていたこと,当該施設の光熱費の支払いも同従業員名義であったこと及び当該物件を住居目的以外での使用することの貸主の同意が確認できなかったことから,事業所が確保されているとは認められなかったもの。
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この記事の監修者
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たろう行政書士事務所 代表
外国人VISA、在留資格を専門に取扱う「申請取次行政書士」
専門分野:配偶者・国際結婚ビザ、外国人就労ビザ、永住申請、帰化申請
- 2024年8月26日お問い合わせありがとうございます
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