離婚歴がある場合の配偶者ビザ取得|不許可を避けるコツとは
「離婚歴があると配偶者ビザの審査が厳しくなる」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、過去に離婚歴がある方の配偶者ビザ申請は、初婚の方に比べて審査が厳しくなる傾向にあります。
もちろん、離婚歴があるだけで一律に審査が厳しくなるわけではありません。しかし、入管は、結婚の真実性や継続性も含め審査しており、「過去の婚姻歴」がその信憑性を判断する一つの材料として扱われるのです。
本記事では、離婚歴がある場合に配偶者ビザが不許可になりやすい理由とその対策について詳しく解説します。
目次
離婚歴があると配偶者ビザが不許可になりやすい理由
配偶者ビザは、「夫婦関係が真実で、安定して継続的であること」が許可には重要な要件となります。離婚歴があると、この「真実性・継続性」に対する入管の疑念が強まる傾向にあります。特に過去に外国人配偶者との婚姻・離婚歴がある場合、単なる在留資格取得を目的とした結婚(いわゆる偽装結婚)を疑われる可能性が高くなります。
出入国在留管理局は、過去のビザ申請や在留状況を把握しており、結婚・離婚を繰り返していると、結婚そのものの真実性に対して懐疑的になります。よって、離婚歴がある方は、前回の結婚や離婚の経緯、そして現在の結婚が本物であることを、丁寧に説明する必要があります。
以下のようなケースは特に審査が厳しくなりやすいので、注意が必要です。
前婚との間隔が短い
離婚してすぐに再婚した場合、結婚の信ぴょう性に疑いを持たれることがあります。特に、離婚から数か月以内に再婚した場合、ビザ申請を行った場合は、入管から「真実性に欠ける」と判断されるリスクが高まります。
いつ知り合ったのか、いつ交際が始まったのか、不倫関係ではなかったのかといった疑念を抱かれます。このようなケースでは、「なぜ急いで再婚に至ったのか」「前婚の破綻の理由は何だったのか」といった点をしっかり説明することが重要です。
複数回の離婚歴がある
離婚歴が1回ではなく、2回・3回と複数回ある場合、「今回の結婚も継続性に欠けるのではないか」と疑われやすくなります。また、過去の結婚で配偶者ビザを取得していたような場合、「ビザ取得を目的とした結婚ではないか」という見方をされる恐れもあります。
このようなケースでは、過去の婚姻が実体を伴うものであり、また、今回の結婚も真剣な関係であることを客観的に説明することが不可欠です。前回の離婚理由をはっきりとさせることに加え、現在の夫婦関係がどのようにして築かれていったか、可能な限り具体的に理由書で説明する必要があります。
前婚と交際期間が重なっている
いわゆる不倫関係から交際が始まったケースです。不倫関係や不適切な交際を経た結婚に対する審査は、厳しくなる傾向にあります。
そのため、前婚中の関係性や別居時期、お二人の出会いや交際開始の時期については、曖昧なままにせず、丁寧に説明することが重要です。たとえば、「前婚は事実上破綻しており、別居してから半年後に現在の配偶者と出会った」などの経緯をしっかりと説明しましょう。
万が一、交際期間が前婚と重なっていたとしても、隠さずに正直に説明し、「過ちを繰り返さない決意」や「現在の結婚が真剣で安定したものであること」をしっかり伝えることが重要になります。
離婚歴がある場合の配偶者ビザ取得ポイント
離婚歴がある場合の配偶者ビザを取得するためのポイントを見ていきましょう。
現在の結婚の真実性を明らかにする
配偶者ビザで最も重要視されるのが、「現在の結婚が真実であるかどうか」です。特に離婚歴がある場合、入管は「今回の結婚が前回と同じように短期間で破綻する可能性はないか」「偽装結婚ではないか」といった視点から慎重に審査を行います。
そのため、お二人の関係性を客観的に証明するために、以下のような書類を提出することが有効でしょう。
・交際中の写真(旅行写真、家族や友人と一緒に写っているものなど)
・通話履歴(LINE、SNS、メールなど)
また、出会いから結婚に至るまでの経緯をまとめた「結婚理由書」を提出することで、夫婦関係がどのように築かれてきたのかを明確に伝えましょう。
前婚の破綻理由を丁寧に説明する
離婚歴がある場合、入管は「なぜ前婚が破綻したのか」についても注視します。理由が不明瞭だったり、曖昧な記載で済ませていると、「安易な結婚・離婚を繰り返しているのではないか」「今回の結婚も真剣ではないのではないか」と疑われる可能性があります。
「性格の不一致」「価値観の違い」など抽象的な表現だけでなく、もう少し踏み込んだ具体的な事情を説明することが望ましいです。たとえば、「結婚後に子供の教育方針や将来設計が合わなくなった」「ギャンブルなどにのめりこみ、家族としての責任を果たさなかった」「浮気が発覚し長期間の別居やすれ違いがあった」といった内容を、しっかりと説明することが大切です。
このように、前回の結婚がどのようにして終わり、現在の結婚にどのように至ったのかを時系列で整理し、整合性のある説明を行うことが重要になります。
再婚禁止期間の経過
日本では、2024年4月1日の民法改正により、これまで女性にのみ課されていた「100日間の再婚禁止期間(いわゆる再婚禁止期間規定)」が正式に廃止されました。これにより、離婚成立後すぐに再婚することが可能となりました。
しかしながら、婚姻は両国の法律に基づいて成立する必要があるため、日本側で再婚可能であっても、相手国側に再婚禁止期間の規定がある場合には、その国の要件を満たす必要があります。たとえば、離婚後一定期間が経過しなければ再婚を認めない国や、前婚の解消を法的に確認できるまで再婚が制限される国もあります。
ご自身のケースに合わせた申請時期を確認しましょう。
参考:法務省「民法等の一部を改正する法律について」令和6年4月1日
まとめ|離婚歴があっても、適切な準備で配偶者ビザは取得可能
離婚歴がある方にとって、配偶者ビザの申請は通常よりも審査が厳しくなる傾向があります。特に、前婚との間隔が短い場合や、複数の離婚歴がある場合、前回も配偶者ビザの取得歴がある場合などは、結婚の真実性や継続性に対する疑念を払拭するための丁寧な説明と証拠提出が求められます。
とはいえ、離婚歴があるからといって、必ずしも配偶者ビザが不許可になるわけではありません。過去の婚姻や離婚について正直に申告し、現在の結婚が誠実で安定した関係にあることを具体的に示すことができれば、ビザが許可される可能性は十分にあります。
不安がある場合や、説明に自信が持てない場合は、早い段階でビザ申請に詳しい行政書士など専門家に相談し、的確なアドバイスを受けながら準備を進めることをおすすめします。誠実な対応と綿密な準備が、配偶者ビザ取得への近道です。
この記事の監修者
- 行政書士
-
たろう行政書士事務所 代表
外国人VISA、在留資格を専門に取扱う「申請取次行政書士」
専門分野:配偶者・国際結婚ビザ、外国人就労ビザ、永住申請、帰化申請
【運営サイト】
たろう行政書士事務所
帰化東京サポートセンター
雇用・就労ビザ東京サポートセンター
経営管理ビザ東京サポートセンター
- 2025年5月26日コラム配偶者ビザで働ける?就労に関するメリットを解説
- 2025年5月16日配偶者ビザ配偶者ビザの更新で「1年」から「3年」にするには?ポイント解説
- 2025年5月14日配偶者ビザ日本人の配偶者ビザの申請 | 申請から許可までの完全ガイド
- 2025年5月12日配偶者ビザ配偶者ビザの申請方法|必要書類・申請場所・注意点を解説
まずはお気軽にご相談ください