離婚歴があり再婚する場合の配偶者ビザ取得
国際結婚で、外国人配偶者に離婚歴があって再婚するケースは少なくありません。実際、日本国内の結婚全体に占める再婚の割合は約4分の1に達しており、日本人であるご自身に離婚歴がある場合も十分に考えられます。
そのため、「自分や配偶者に離婚歴があると、配偶者ビザの取得が難しくなるのではないか?」と心配される方もいるでしょう。再婚の場合、配偶者ビザ申請が不利になるのでしょうか?
この記事では、在留資格に詳しい行政書士が、離婚歴がある際に配偶者ビザ申請で留意すべきポイントについて、わかりやすく解説していきます。
目次
離婚歴があり再婚する場合の配偶者ビザ取得の問題点
配偶者ビザを申請する上で、離婚歴がある外国人と再婚した場合、または日本人が再婚の場合、配偶者ビザの審査は不利にはたらくのでしょうか。
本章では、離婚歴がある場合における配偶者ビザ取得の問題点について、外国人と日本人それぞれに離婚歴があるケースに分けて解説します。
外国人に離婚歴がある場合の問題点
外国人に離婚歴がある場合、配偶者ビザの審査において、結婚の信ぴょう性が非常に重要なポイントとなります。申請者の結婚が真実であることを証明する信ぴょう性は、審査において最も重視される要素の一つです。離婚歴があると、この信ぴょう性に疑問を持たれやすくなり、これが配偶者ビザ取得の際に大きな問題となり得ます。
また、配偶者ビザの取得によって就労制限がなくなるため、そのメリットを得る目的で再婚しているのではないかと疑われるケースもあります。つまり、単に日本に居住を続けるためだけの結婚であるとみなされるリスクがあるのです。
日本人に離婚歴がある場合の問題点
日本人側が離婚歴を持っている場合にも注意が必要です。特に前婚の相手が外国人であった場合において、別の新たな外国人との再婚を考えている場合には注意しましょう。この場合、出入国在留管理局は前回の申請に関する過去の記録を保有しているため、過去の記録について必ずチェックされます。
何度も外国人との離婚・再婚を繰り返していると、偽装結婚の可能性が疑われやすくなります。金銭的な利益を目的とした結婚が疑われる場合もあり、この点は特に注意する必要があります。
外国人側であれ日本人側であれ、離婚歴がある場合の再婚については、二人の結婚の信ぴょう性をしっかりと明らかにすることが非常に重要です。この信ぴょう性を証明することが、配偶者ビザの申請において重要なポイントとなります。
離婚歴ありの配偶者ビザ申請で不許可リスクが高まるケース
離婚歴ありの状態で再婚する場合において、配偶者ビザの不許可リスクが高まるケースを具体的に見ていきましょう。以下のような状況では特に注意が必要です。
離婚回数が多い
離婚と再婚を繰り返している場合は注意が必要です。離婚歴が2回、3回とあるようなケースでは、回数が増すほど審査が厳しくなると思った方がよいでしょう。出入国在留管理局では、またすぐに離婚するのではないのか疑いを持って審査される傾向にあります。
再婚までの期間が短い
これは、前回の離婚から再婚までの期間が短いケースです。交際期間が短いにもかかわらず、すぐに結婚するのは単に日本に在留したいだけ、お金を稼ぎたいだけではないかと疑われやすくなるため、注意が必要です。
前婚と交際期間が重なっている
前婚期間中に交際が始まったケース、すなわち不倫状態での交際が始まった場合は、審査に大きな影響を及ぼす可能性があります。この場合、前婚が破綻した理由や、前婚期間中に交際が始まった経緯について、十分な説明が必要になります。
離婚歴がある場合の配偶者ビザ取得ポイント
離婚歴がある場合の再婚で配偶者ビザを取得するためのポイントを見ていきましょう。
法的に離婚が成立
まず、前婚の法的な離婚手続きが完了していることが必要です。日本国内だけでなく、相手方である外国人の本国における離婚手続きも完了している必要があります。一部の国では裁判を経なければ離婚が成立しない場合もあるため、配偶者ビザ申請前に両国での法的な離婚が成立しているか確認する必要があります。
結婚の信ぴょう性
たとえ離婚歴が複数回あったとしても、配偶者ビザの取得が不可能なわけではありません。申請時に「理由書」を提出し、前婚が破綻した理由や、お二人の出会いから交際、結婚に至るまでの流れを丁寧に説明することで、配偶者ビザを取得できる可能性が高まります。
特に、前婚期間と交際期間が重なっている場合は、その理由や背景について詳細に説明することが求められます。結婚の信ぴょう性を明確にすることで、偽装結婚を疑われるリスクを減らすことが可能です。
具体的には、「理由書」での説明に加え、お二人のスナップ写真やSNSでの会話履歴の提出も有効です。交際が始まってから現在までの長い期間にわたる証拠を提出することで、関係の真実性を高められるでしょう。
生計要件
配偶者ビザを取得するためには、「結婚の信ぴょう性」とともに「生計要件」を満たしていることも求められます。
つまり、結婚した二人が今後どうやって生活していくかをしっかり説明することが重要です。お二人の収入を見たときに、生活が難しいレベルでは配偶者ビザの取得を認めてもらうことは非常に難しいです。課税証明書や納税証明書、源泉徴収票などを提出し、世帯全体の収入を明確に説明したうえで、お二人の収入で生活していける状態にあることをアピールしましょう。
何らかの理由でお二人ともに無職であったり、世帯の収入が低かったりする場合は、就職活動の状況や、両親・親族からのサポートを受けることで、今後金銭面に問題がないことをアピールすることが重要になります。
再婚禁止期間の経過
日本では、2024年4月1日の改正により女性の再婚禁止期間のルールが廃止されました。ただし、世界に目を向けると、依然として再婚禁止期間のルールを設けている国が少なからず存在します。
国際結婚はお互いの国の婚姻要件を満たしていなければ成立しませんので、離婚後すぐの再婚について、日本ではOKだとしても、もう片方の国でNGないし制限があれば、それに従う必要があります。なお、日本と同様に再婚禁止期間が撤廃されている(もしくは存在しない)国の人との再婚については、離婚後すぐにでも婚姻手続きを進めることが可能です。
参考:法務省「民法等の一部を改正する法律について」令和6年4月1日
まとめ
離婚歴がある場合の再婚で配偶者ビザを取得するうえで、最大の課題は結婚の信ぴょう性の証明です。特に、離婚回数が多い、再婚までの期間が短い、前婚との交際期間の重複がある場合は審査が厳しくなる傾向があります。
配偶者ビザの取得許可の確率を上げるためには、申請理由書などを提出して、お二人の結婚の信ぴょう性を明らかにすることが重要です。生計要件を満たすことも同様に重要です。これらを明らかにすることで、配偶者ビザ取得の可能性が高まるでしょう。
申請に対して不安や心配がある方は、専門家のサポート助けを受けることで、スムーズかつ適切な申請が可能となります。
たろう行政書士事務所では、そのような専門的なアドバイスを提供し、皆さんが円滑に配偶者ビザ申請を進められるようサポートしております。お気軽にご相談ください。
この記事の監修者
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たろう行政書士事務所 代表
外国人VISA、在留資格を専門に取扱う「申請取次行政書士」
専門分野:配偶者・国際結婚ビザ、外国人就労ビザ、永住申請、帰化申請
【運営サイト】
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