日本人の配偶者が永住権を取得するには?許可要件を詳しく解説
日本人の配偶者ビザから永住権の取得
日本人の配偶者として日本に滞在している方の中には、「将来的には永住権を取得して、より安定した生活を送りたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。永住権を取得すれば、在留期間の更新が不要となり、就労や居住に関する制限もなくなるため、日本での生活における安心感が大きく向上します。
ただし、永住許可を得るためには、在留年数や素行、収入、納税状況など、いくつかの明確な要件を満たす必要があります。配偶者ビザを持つ方は、在留年数の要件が緩和されるなど特例がありますが、許可を得るためには多くの要件を満たす必要があります。
本記事では、配偶者ビザから永住権を取得するための要件について詳しく解説します。
配偶者ビザから永住者への変更
日本でいわゆる永住権を取得するためには、在留資格「永住者」を取得する必要があります。在留資格「永住者」は他の在留資格からの変更申請でのみ取得することが出来、海外から新規で取得することはできません。
永住者は日本で最も安定的に長期滞在できる在留資格ですので、審査はとても厳しくなります。「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」を持つ外国人は要件の一部が緩和されます。
まずは、在留資格「永住者」を取得するメリットと、日本人の配偶者等との違いを確認しましょう。
永住権取得のメリット
在留資格「永住者」を取得すると、在留期間の更新が不要になります。日本での生活がより安定したものになり、就労制限はありませんので、転職や独立開業も自由に行えます。さらに、住宅ローンの審査が通りやすくなったり、各種公的支援の対象となるなど、日本社会での信用力も向上します。
また、入管への更新申請の手間や、不許可の不安から解放され、精神的・経済的な負担を大きく軽減することでしょう。
配偶者ビザとの違い
配偶者ビザは「日本人」または「永住者」との結婚を前提とした在留資格であり、その身分関係がなくなるとビザの該当性は失われ、更新申請が出来ないことがあります。一方、永住者を取得していれば、たとえ離婚や配偶者の死別があっても、そのまま日本に住み続けることができます。
また、配偶者ビザは1年、3年、5年といった在留期間ごとの更新が必要ですが、永住者には更新義務がなく、原則として一生有効となります(ただし、在留カードの更新は必要です)。
日本人の配偶者が永住権を取得するための要件
永住権を取得するための一般的な要件には、「日本での在留期間が原則10年以上」など、比較的ハードルの高い条件が設けられています。しかし、「日本人の配偶者」として滞在している方には、こうした在留期間に関する特例が適用され、より短い期間で永住申請が可能になります。
とはいえ、条件が緩和される一方で、婚姻関係の実態や生活の安定性など、他の要素については慎重に審査されます。ここでは、日本人の配偶者として永住権を申請する場合に求められる主な要件について、分かりやすく解説していきます。
婚姻期間と在留期間
日本人の配偶者が永住者を申請する場合、婚姻から3年以上が経過し、かつ直近1年以上継続して日本に居住していることが要件となります。一般的な外国人の在留期間は「日本での在留期間が原則10年以上」となっていますので、かなり要件が緩和されていると言えます。
ただし、単に婚姻し、在留していればよいというものではなく、「実体を伴った婚姻生活」が継続していることが前提となります。別居状態が長期間にわたる場合などは、たとえ形式的に婚姻関係が続いていても、要件を満たさないと判断される可能性があります。
現在の在留資格について、在留期間3年以上が付与されている
永住申請では、「現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。」が求められます。
配偶者ビザの場合、最長の在留期間は5年となりますが、実務上は3年以上の在留期間が最長と見なされています。そのため、在留期間が1年の場合は申請が認められず、3年または5年の在留期間を取得していることが条件となります。
まずは、在留期間3年を取得することが永住申請のスタートになります。
収入・資産について
永住権を取得するためには、申請人が日本で安定した生活を継続できるだけの「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」が求められます。これは、本人や配偶者の収入によって、安定的・継続的に日本で生活していることを意味します。
明確な収入基準は公表されていませんが、一般的には年収300万円程度が一つの目安とされており、扶養家族が増えるごとに年収の上積みが必要になります。直近3年分の住民税の課税証明書の提出が必要で、安定性や継続性が重視されます。
なお、貯金や不動産などの資産が豊富にある場合は、収入が若干低めでも生活の安定性を補う要素として考慮されることがあります。ただし、あくまで補足的な要素であり、基本的には「継続的な収入」が審査の中心となる点に注意が必要です。
納税・年金・健康保険料の納付
永住権の申請においては、「公的義務の履行状況」も非常に重要な審査項目です。具体的には、税金の納付、年金の支払い、健康保険料の納付といった義務をきちんと果たしているかが確認されます。
未払いなくきちんと納付していることはもちろん、納期を守っているかどうかも重要なポイントとなります。
このように、永住申請では生活の安定性だけでなく、社会的義務をきちんと果たしているかが厳しく問われます。すべての公的義務を誠実に履行している状態での申請をおすすめします。
素行が善良であること
永住権の申請においては、「素行が善良であること」も非常に重要な審査要件のひとつです。これは、申請人が日本の法令を遵守し、社会の一員として誠実に生活しているかどうかを評価するものです。
懲役刑や罰金刑を受けている場合、一定期間、申請は認められません。交通違反や軽微な行政処分であっても、繰り返されている場合や悪質と判断される場合にはマイナス評価となります。
まとめ
日本人の配偶者が永住権を取得するためには、在留期間や婚姻生活の実態、安定した収入、公的義務の履行、そして素行の善良性といった複数の要件を満たす必要があります。配偶者ビザ保持者には一定の特例が認められるものの、その分「実体のある婚姻生活」が審査されます。
永住申請は審査に時間がかかるため、一度不許可になると再申請までに長い時間を要するため、申請前に自身の状況をしっかり見直し、要件を確実にクリアしておくことが重要です。
ご自身だけで判断するのが難しい場合は、ビザ申請に精通した行政書士など専門家に相談することをおすすめします。正確なアドバイスを受けることで、無駄な手間やリスクを避け、許可の可能性を高めることができます。
この記事の監修者
- 行政書士
-
たろう行政書士事務所 代表
外国人VISA、在留資格を専門に取扱う「申請取次行政書士」
専門分野:配偶者・国際結婚ビザ、外国人就労ビザ、永住申請、帰化申請
【運営サイト】
たろう行政書士事務所
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