交際期間が短いカップルの配偶者ビザ申請は難しい?許可取得の対策を解説
国際結婚をしたご夫婦や、これから結婚を考えているカップルが直面しやすい課題の一つが、配偶者ビザの取得です。配偶者ビザ申請の審査では、「どのように知り合い、結婚に至ったか」という経緯が特に重視されます。
例えば、交際期間が短い「スピード結婚」の場合、偽装結婚の可能性が疑われ、慎重な審査が行われることがあります。しかし、心配しないでください。交際期間が短くても真実の結婚であれば、多くのご夫婦が無事に配偶者ビザを取得し、幸せな生活を送っています。
本記事では、交際期間が短いカップルが配偶者ビザの審査で直面しやすい課題と、その対策についてわかりやすく解説します。
目次
交際期間が短いカップルの配偶者ビザ取得が難しい理由
交際期間が何年あればビザの許可が出る、といった具体的な数字はありません。しかし、配偶者ビザの審査のポイントに「結婚の信ぴょう性」があります。「結婚の信ぴょう性」とは、端的に言えばお二人の結婚が真実の結婚であるということです。配偶者ビザを取得するためには、お二人の出会いから結婚までの流れを十分に説明する必要があります。
交際期間が長いと、自然と説明できる出来事や証拠が集まりやすいです。交際期間が短いと、この説明が難しくなるケースがしばしばあります。このことがビザ取得が難しいと言われる理由です。
結婚までの一般的な交際期間
「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」によると、カップルが交際を始めてから結婚に至るまでの平均期間は約3年4か月とされています。特に「交際期間が2年以上3年未満」のケースが全体の23.2%を占めており、最も多い割合となっています。
十分な交際期間を経て、相手を深く理解し、結婚生活に必要な信頼関係を築く時間があれば、結婚の信ぴょう性は高いと言えるでしょう。
参考:ブライダル総研「結婚トレンド調査」
交際期間が短いと審査が厳しくなるのか
交際期間が短いと、相手に対する理解度や関係性が十分ではないと判断される場合があります。特に、お二人の交際の記録を示す資料を十分に準備できない可能性があり、出入国管理局の審査官を納得させることが難しいといった状況に陥る場合があります。
働くことが目的の偽装結婚を疑われることも
交際期間が短い結婚の場合、「なぜそんなに急いで結婚するのか?」「真実の結婚なのか?」「就労目的の結婚ではないか?」といった疑念を持たれることがあります。特に就労目的の偽装結婚を疑われるケースが多く、過去の事例などから審査は年々厳しくなっています。
以上のような理由から、交際期間が短いと、配偶者ビザ取得は難しいとされています。しかし、実際に交際期間が短くても結婚を決意するカップルは存在します。予期せぬ不許可とならないよう、交際期間が短い場合の配偶者ビザ申請のポイントを説明していきます。
交際期間が短いカップルの配偶者ビザ申請の対策ポイント
交際期間が短い場合には、お二人の交際を裏付ける資料をできるだけ多く提出することをお勧めします。以下では、お二人の交際が事実であることや結婚の信ぴょう性を高めるための具体的なポイントについて説明します。
2人が直接会った回数をアピールする
交際期間が短い場合、「これまでに何回実際に会ったことがあるか」という点が重要な審査ポイントとなります。
外国人配偶者が日本に住んでいる場合は頻繁に会う機会があるため、大きな問題にはなりにくいでしょう。しかし、外国人が海外に住んでいる場合、これまでに会った回数が1回だけといった非常に少ないケースでは注意が必要です。
入管の過去の事例でも、交際期間が短く、さらに会った回数が少ない場合、偽装結婚であった確率が高かったというデータがあります。偽装結婚は当然認められません。また、日本人側が真実の愛と思っていても、外国人側がビザ取得を目的としていたという事例も過去には存在しています。
そのため、会った回数が少ない場合は、日本人側が相手の国を訪問したり、相手を日本に招待して日本の生活に慣れてもらったりするなど、関係性を深める努力をすることが有効です。
交際の記録を積極的に提出する
配偶者ビザの審査において、一緒に過ごした時間の写真、メールやSNSのメッセージ交換の記録、共に旅行した際の記録など、具体的な証拠を積極的に提出する方がよいでしょう。
これらは交際期間が短い場合でも、関係の真剣さと持続性を示す重要なエビデンスとなります。交際期間が短いカップルでも、これらの記録を多く提出することで、結婚の信ぴょう性が高まると言えるでしょう。
会話に使用している言語をアピールする
普段使用している言語や、LINEなどのコミュニケーションツールでのやり取りに使っている言語も審査対象になります。
結婚に至るには、少なくともお互いに意思疎通ができる言語で会話をしていることが重要です。完璧ではなくても、基本的なコミュニケーションが取れていない状態で結婚に至ることは考えにくいでしょう。
翻訳機を使用する場合でも問題はありませんが、翻訳機なしでは会話が全く成り立たない場合、交際を深めるために必要なコミュニケーション量が多くなるため、結果として交際期間が長くなる傾向にあります。
また、お互いの言語が全く分からない場合、多くのカップルはお互いの言語を少しずつ学び、会話を可能にする努力をします。そうした努力が見られない場合、入管の審査はより厳しくなることがあります。
スピード婚に至った理由を説明する
スピード婚に至った理由を明確に説明すれば、審査時に有利に扱ってもらえる可能性があります。
例えば、スピード婚の理由として妊娠が挙げられる場合、医療機関の妊娠証明書(診断書)を添付することで、審査官にしっかりと根拠を示すことが可能です。この資料があれば、審査官も疑うことなく納得する可能性が高まります。
また、同棲や半同棲を理由にスピード婚を決めた場合、その事実を示す資料の提出が有効です。住民票に双方の名前が記載されていなくても、自宅内の様子がわかる写真(例:キッチンや浴室などの共有スペース)を添えることで、同棲の事実が証明される可能性があります。
交際実績を作ってから申請する
十分な証拠が揃わない場合や、ビザの申請に自信がない場合は、きちんと交際実績を作ってからビザを申請することを検討するとよいでしょう。旅行に行ったり、お互いの国を訪問したり、共に過ごす時間を増やしたりすることで信ぴょう性を高める方法が考えられます。
交際期間が短いカップルの配偶者ビザ申請の注意点
日本に住んでいる外国人が、現在のビザの期限が迫っていることを理由に配偶者ビザを申請する場合、「なぜ現在のビザを更新しないのか」が審査で重要なポイントとなります。この理由次第では、審査が厳しくなることもあります。
現在のビザは、その活動目的に基づいて滞在が許可されています。そのため、ビザに定められた活動を行っていない場合や更新ができない状況で配偶者ビザへの切り替えを希望すると、「現在のビザの在留不良」とみなされることがあります。
例えば、留学ビザで滞在している外国人が、学校を卒業できない理由から配偶者ビザに切り替えたいと申請する場合を考えます。もし卒業できない原因が低出席率などである場合、留学ビザの活動目的を果たしていないと判断され、不許可となる可能性があります。不許可となった場合は、一度母国などに帰国し、新たに配偶者ビザを申請し直さなければならない場合もあります。
一方で、現在の滞在ビザを使い切る前に、日本国内で直接配偶者ビザに切り替えようとする場合、その審査基準は非常に厳しくなります。そのため、適切な理由と証明書類を整えることが重要です。
交際期間が短いカップルの配偶者ビザ申請の事例
弊所「たろう行政書士事務所」にて、スピード結婚後に配偶者ビザの申請を希望されるご夫婦からのご相談がありました。
本章では、交際期間が短いカップルによる配偶者ビザ申請の具体的な事例をご紹介します。この事例は、ご自身で手続きを進める場合だけでなく、専門家にサポートを依頼する際にも役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
ご依頼者のプロフィール
以下に、ご依頼者の簡単なプロフィールをご紹介します。
プロフィール | 補足 |
日本人男性 | ・30代会社員 |
外国人女性(奥様) | ・30代 ・前婚の日本人男性と離婚し、定住者ビザ(※)へ変更 ・子どもの親権は前婚の元夫が取得 ・これにより、定住者ビザの更新ができなくなり、特定活動ビザ(出国準備)に変更 |
※:特別な理由を考慮して居住を認めるべき外国人のために設けられたビザ。 その中でも、日本人と離婚した後も引き続き在留を希望する外国人に関係するものは、離婚ビザ(離婚定住)とも呼ばれる。
ご依頼者の夫婦はSNSで知り合って、1カ月で結婚しました。その後、妻となった相手女性の特定活動ビザ(出国準備)の期限が近づいた状態で、弊所にご相談いただきました。
そのまま日本を出国することなく、特定活動ビザから配偶者ビザへの在留資格変更許可申請をご希望でした。
ビザ申請の許可を得るために意識したポイント
配偶者ビザへの変更申請は不許可リスクが高いと判断し、ひとまず出国をおすすめしました。また、日本から出国するまでの間に、日本のさまざまな観光名所を訪れることをおすすめし、夫婦で写真撮影をしていただきました。
出国後には奥様の本国に最低1度は行っていただくことも、ご提案しています。日本人男性が相手方のご家族に挨拶し、写真撮影していただきました。
ご依頼から許可取得までの大まかな流れ
以下に、ご依頼から許可取得までの大まかな流れをまとめました。
- 1. 対面でのご相談 → 不許可リスクが高いために出国をおすすめし、ご了承いただく
- 2. 残りの在留期間で日本各地を旅行し、写真撮影していただくよう提案
- 3. 奥様の出国
- 4. 2か月後に日本人男性が奥様の本国へ渡航し、家族への挨拶・写真撮影を済ませる
- 5. 在留資格認定証明書交付申請を行う(8月31日)
- 6. 配偶者ビザの許可を取得する(10月22日)
交際期間が短いカップルが配偶者ビザ申請の許可を得るためには、個々のケースに応じた工夫が求められます。「スムーズに配偶者ビザを取得したい」とお考えでしたら、たろう行政書士事務所にお気軽にご相談ください。
まとめ
国際結婚を進める際に、配偶者ビザの取得は避けて通れない重要な手続きです。交際期間が短い場合、ビザ取得が難しくなることもありますが、正しい申請手順を踏み、具体的な証拠を提出することで、不許可を避けることができます。
特に有効なのは、交際の記録を詳細に準備することです。例えば、メッセージ履歴や写真、直接会った回数を示す証拠を提出することで、関係の信頼性を高められます。また、交際期間が短い場合、一度関係の実績を積み上げてから申請を行うという方法も検討しましょう。
たろう行政書士事務所では、配偶者ビザに関するお悩みや疑問を抱えるご夫婦を全面的にサポートいたします。国際結婚やビザ申請で不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。専門的な知識と豊富な経験を生かし、お二人の新しい生活を全力でサポートいたします。
この記事の監修者
- 行政書士
-
たろう行政書士事務所 代表
外国人VISA、在留資格を専門に取扱う「申請取次行政書士」
専門分野:配偶者・国際結婚ビザ、外国人就労ビザ、永住申請、帰化申請
【運営サイト】
たろう行政書士事務所
帰化東京サポートセンター
雇用・就労ビザ東京サポートセンター
経営管理ビザ東京サポートセンター
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