交際期間が短い場合の配偶者ビザ | 申請のポイントを解説
「知り合ってすぐに結婚したけど、配偶者ビザ取得の問題になるだろうか」
交際期間が短い結婚、いわゆる「スピード結婚」は、配偶者ビザ取得の障害になるのでしょうか。「真剣な交際の末に結婚したのだから、問題にはならないだろう」と思う方もいるかもしれません。しかし、配偶者ビザの審査では「結婚の信ぴょう性」が重要な要件となり、交際期間が短い場合、結婚の信ぴょう性が低いと判断される可能性があります。
「なぜこんなに早く結婚したのか」「本当に恋愛関係だったのか」といった点に審査の目が向けられることがあり、交際期間の短さは配偶者ビザ申請において問題視されることがあります。
この記事では、交際期間が短いカップルが配偶者ビザを申請する際に直面しやすい問題点と、申請時のポイントや対策について解説します。しっかりと準備を行い、正しく思いを伝えることで、短期間の交際でも配偶者ビザが許可される可能性は十分にあります。
目次
交際期間が短い場合の配偶者ビザ申請の問題点
そもそも「交際期間が短い」とはどの程度の期間か?
「交際期間が短い」と言われても、その基準は人によって異なります。では、どの程度の交際期間が“短い”とされるのでしょうか。
参考になるのが、リクルートが毎年発表している『ゼクシィ結婚トレンド調査』です。2023年調査によると、結婚したカップルの交際期間の平均は約3.4年(約40.9か月)と報告されています。このデータをもとにすると、交際期間が半年未満〜1年未満での結婚は、統計的にはかなり短い部類に入ります。特に、数か月の交際で結婚に至った場合には、入管でも「なぜそんなに早く結婚したのか」という点について細かく審査すると思われます。
交際期間が1年未満、特に半年未満での結婚については、「短期間でも真剣な交際だった」ことを示す資料や説明をより丁寧にする必要があるでしょう。
交際期間が短いと審査が厳しくなるのか
交際期間が短いからといって、それをもって不許可になることはありません。しかし、短期間の交際での結婚は、入管からより慎重に審査されるのは間違いありません。
配偶者ビザの審査では、夫婦の関係が本物であるかどうか、つまり「結婚の信ぴょう性」が厳しくチェックされます。入管は「本当にお互いを理解した上で結婚しているのか?」という視点で判断を行います。そのため、交際期間が極端に短い場合、「相手のことを十分に知る時間があったのか?」「文化や価値観の違いについて理解し合えているのか?」といった疑念を持たれる可能性が高まります。
入管では、短期間の交際・結婚は「偽装結婚ではないか」という懸念と隣り合わせであるため、通常よりも審査が慎重になると言えるでしょう。
就労目的の偽装結婚を疑われることも
配偶者ビザには「就労に制限がない」という日本で暮らす上での大きなメリットがあります。アルバイトに限らず、正社員として働くことも、会社を経営することもでき、職種の制限もありません。そのため、在留資格の取得を目的として偽装結婚をするケースがありました。
こうした背景から、入管では「就労目的の偽装結婚」に対して不正ビザを発給しないよう、慎重に審査を進めています。言葉の壁や文化の違いがあるにもかかわらず、短期間で結婚に至っている場合は、入管としても「本当に相手のことを理解した上で結婚したのか?=偽装結婚ではないのか」という点を慎重に審査しています。
配偶者ビザ申請のポイントと対策
交際期間が短い場合の申請では、「真剣な結婚であること」を丁寧に伝えることが何よりも重要です。たとえ交際期間が数カ月でも、しっかりと説明すれば許可される可能性は十分にあります。
この章では、交際期間が短いケースの配偶者ビザ申請のために押さえておくべきポイントや対策について解説していきます。
交際の実態をしっかりと説明する
配偶者ビザの審査では、夫婦の関係が真実かつ継続的なものであることが重要な審査ポイントとなります。特に交際期間が短い場合、「どのように出会い、どのように関係を深めてきたか」を具体的に説明することが重要です。
まずは、出会いから交際に至るまでの経緯をしっかりと理由書を作成し伝えましょう。たとえば、「どこで出会ったのか」「最初に会ったときの印象」「交際を始めたきっかけ」など、二人の関係が自然に始まり、真剣な気持ちで進展したことを丁寧に書くことが大切です。
交際中の記録(LINE・メール・SNSのやりとり、写真、渡航記録など)も提出しましょう。定期的に連絡を取り合っていた様子や、一緒に過ごした時間を証明できる写真なども、結婚の信ぴょう性を高めるために重要な証拠になります。
さらに、「お互いがしっかりとコミュニケーションを取れていること」を伝えることも大切です。共通言語があれば問題ありませんが、言語が異なる場合でも、翻訳アプリを使って意思疎通をしているなどの工夫を伝えことが大切です。
直接会った回数
交際期間が短い場合、「これまでに何回実際に会ったことがあるか」という点が重要な審査ポイントとなります。
外国人配偶者が日本に住んでいる場合は頻繁に会う機会があるため、大きな問題にはなりにくいでしょう。しかし、外国人が海外に住んでいる場合、これまでに会った回数が1回だけといった非常に少ないケースでは注意が必要です。
入管の過去の事例でも、交際期間が短く、さらに会った回数が少ない場合、偽装結婚であった確率が高かったというデータがあります。偽装結婚は当然認められません。また、日本人側が真実の愛と思っていても、外国人側がビザ取得を目的としていたという事例も過去には存在しています。
そのため、会った回数が少ない場合は、日本人側が相手の国を訪問したり、相手を日本に招待して日本の生活に慣れてもらったりするなど、関係性を深める努力をすることが有効です。
スピード婚に至った理由を説明する
交際期間が短くても、価値観や人生観が一致し、深いコミュニケーションを重ねる中で「この人となら一緒に歩んでいける」と結婚を決意するカップルは少なくありません。 とはいえ、配偶者ビザの審査においては、「なぜ短期間で結婚に至ったのか」を具体的に説明することが非常に重要です。
たとえば、
「出会ってから毎日連絡を取り合っていた」
「将来や家族のことについて真剣に話し合ってきた」
「共通の価値観があり、自然と結婚を意識するようになった」
といったエピソードを通じて、2人の関係が信頼に基づいた真剣なものであることを示すことができます。
交際期間の長さよりも、お互いをどれだけ深く理解し合い、信頼関係を築いてきたかが大切です。短期間でも誠実な関係であることを、しっかりと伝えましょう。
まとめ
交際期間が短い、いわゆる「スピード婚」の夫婦であっても、真剣にお互いを理解し、信頼関係を築いたうえでの結婚であることがきちんと伝われば、配偶者ビザは十分に許可されます。
とはいえ、入管の審査では「結婚の信ぴょう性」や「相互理解の深さ」が重視されるため、交際期間が短い場合は、「なぜ短期間で結婚を決めたのか?」といった点に慎重な審査が行われる傾向にあります。
そのため、以下のような点を意識して準備を進めることが重要です。
・出会いから交際、結婚に至るまでの経緯を丁寧に説明する
・LINEやメール、SNSのやり取り、交際中など、交際の実態を裏付ける客観的な証拠を提出する
・スピード婚になった理由や背景(価値観の一致、人生の転機、家族事情など)をきちんと伝える
交際期間は短くても、関係は非常に誠実であることを入管に分かりやすく伝えることが、思わぬ不許可とならないためのポイントとなります。
ご自身だけで準備を進めることに不安がある場合は、経験豊富な行政書士に相談するのも大変有効です。たろう行政書士事務所では、配偶者ビザに関するお悩みや疑問を抱えるご夫婦を全面的にサポートいたします。国際結婚やビザ申請で不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。専門的な知識と豊富な経験を生かし、お二人の新しい生活を全力でサポートいたします。
この記事の監修者
- 行政書士
-
たろう行政書士事務所 代表
外国人VISA、在留資格を専門に取扱う「申請取次行政書士」
専門分野:配偶者・国際結婚ビザ、外国人就労ビザ、永住申請、帰化申請
【運営サイト】
たろう行政書士事務所
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