「技術・人文知識・国際業務」とは
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「技術・人文知識・国際業務」とは
技術・人文知識・国際業務とは、日本の在留資格の一つであり、外国人が就労するための最もポピュラーな資格です。
取得するための要件として、一定水準以上の学歴・職歴が求められます。主に学歴で取得する方が多く、企業で働く会社員に付与されるケースが多い資格です。
一般的に、働くためのビザを「就労ビザ」と呼びますが、実際には「就労ビザ」という名前の在留資格/ビザは存在しません。就労するためのビザは細分化されており、技術・人文知識・国際業務もその内の一つです。就労ビザの中では最も取得している外国人数が多く、出入国管理庁の発表では、令和2年度末現在において、ビザ全体の約10%、28万3,380人の外国人が保有するビザとなっています。
従事できる活動内容
技術・人文知識・国際業務を取得するためには、従事する活動内容、つまり会社での職務内容が、入管法で定める活動に該当している必要があります。従事できる活動内容は以下のように定められています。
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」
(出典:出入国在留管理庁)
申請人である外国人が大学等で学んできた知識、仕事で経てきた経験年数、母国の文化や言語など日本人にはない知識と「関連性」のある職務内容である必要があります。具体的には申請人の「学歴」又は「職歴」が、一定の基準に達している必要があります。また、事前に本邦の公私の機関と雇用契約等を結ぶ必要があります。
それでは、技術・人文知識・国際業務の従事できる活動内容について、詳しく説明致します。
本邦の公私の機関との契約
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う」とある通り、まずは日本の公私の機関との契約が必要になります。「本邦の公私の機関」には会社、国、地方公共団体、独立行政法人、公益法人等の法人のほか、任意団体も含まれます。外国法人や個人事業主であっても、事務所や事業所を有する場合はこれに含まれます。これらの公私の機関との継続的な契約が見込まれることが必要です。「契約」には、雇用契約のほかに、委任契約、委託契約、派遣契約も含まれます。
理学,工学その他の自然科学の分野
理学,工学その他の自然科学の分野とは、いわゆる理系分野の職務内容となります。技術・人文知識・国際業務の「技術」が該当します。具体的な職種としては、以下のようなものとなります。
【職種】
・システムエンジニア
・プログラマー
・技術者
・開発者 など
法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野
法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野とは、いわゆる文系分野の職務内容となります。技術・人文知識・国際業務の「人文知識」が該当します。具体的な職種としては、以下のようなものとなります。
【職種】
・営業職
・事務職
・コンサルティング
・マーケティング など
外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務
外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務とは、母国の文化や言語など、日本人にはない外国人特有の知識や感性を必要とする職務内容となります。技術・人文知識・国際業務の「国際業務」が該当します。具体的な職種としては、以下のようなものとなります。
【職種】
・通訳翻訳
・語学指導
・服飾デザイン
・海外取引業務 など
上記の通り、日本の公私の機関との契約があること、活動内容・職務内容が上記に該当することが、技術・人文知識・国際業務の取得の前提となります。しかしながら、これらの契約と職務内容があればビザ許可がもらえるわけでははありません。許可をもらうためには、実際の職務内容と申請人本人の経歴との「関連性」がとても重要になります。また、契約内容や会社の経営状態も審査には影響してきます。ビザ取得に必要な要件を詳しく説明していきます。
技術・人文知識・国際業務の取得要件
学歴・職歴
技術・人文知識・国際業務を取得するためには、会社での職務内容と、申請人の経歴「学歴」又は「職歴」との関連性がとても重要になります。学歴と職歴の要件について詳しく説明致します。
学歴要件
技術・人文知識・国際業務を学歴で取得する場合、一定の基準以上の学校を卒業している必要があります。日本又は海外の大学を卒業していれば要件は満たします。専門学校の場合、日本の専門学校を卒業している必要があります。日本語学校や、海外の専門学校だけを卒業している場合、要件を満たしません。
【学歴要件を満たす】
・大学(大学院、短大含む)卒業 ※日本・海外
・専門学校卒業(専門士及び高度専門士) ※日本
【学歴要件を満たさない】
・日本語学校卒業
・専門学校卒業 ※海外
【職務内容との関連性】
単に学校を卒業するだけでなく、実際に従事する「職務内容」と、学校で「専攻した科目」との関連性が求められことに注意が必要です。大学を卒業した場合、職務内容と学校での専攻科目との関連性は柔軟に判断される傾向にあります。専門学校を卒業した場合、職務内容と学校での専攻科目には強い関連性が求められます。外国人を採用する前に、卒業証明書や成績証明書などをしっかり確認しておく方がよいでしょう。
職歴要件
技術・人文知識・国際業務を職歴で取得する場合、10年以上の実務経験を有することが必要になります。実務経験の期間には、大学等において関連科目を専攻した期間も含まれます。実務経験の証明として、過去に働いていた会社から在職証明書を発行してもらう必要があります。何らかの理由で過去の在籍証明書を提出出来ない場合、実務経験として年数をカウントすることが出来ませんので注意が必要です。
通訳・翻訳や語学指導などの国際業務の場合、従事しようとする業務について3年以上の実務経験があることで要件を満たします。
申請人の素行
ビザ申請の際、申請人本人の素行についても審査されます。過去に逮捕歴や犯罪歴があるような場合は当然ですが、週28時間を超えてアルバイトをしていたオーバーワークなども、不許可リスクが高まります。また、在留カードの記載事項の変更、更新、紛失、返納、及び所属機関等に関する届出義務を怠っているような場合は、審査が不利に働きますので注意が必要です。
会社の経営状態・報酬
技術・人文知識・国際業務を取得するためには、申請する外国人本人だけでなく、受け入れる会社側も審査されることになります。会社の経営状態や外国人への報酬額は審査の対象になります。
会社の経営状態
外国人を受け入れる会社の経営状況が、安定的・継続的に外国人を雇用する財政基盤があるかどうかが審査されます。証明手段として、決算書を提出します。新設会社の場合、決算書がありませんので、代わりに事業計画書を作成し提出します。また、直近の決算が赤字の企業の場合も、今後の改善案を含めた事業計画書を作成し、雇用の安定性・継続性をアピールするために提出します。
日本人と同等以上の報酬
外国人への報酬は、会社内の同種の業務に従事する日本人が受ける報酬と同等以上である必要があります。会社や地域の賃金体系を基に、報酬を算出します。報酬には通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するものは含みません。
まとめ
いかがでしたか。以上が技術・人文知識・国際業務の説明となります。ビザを取得するためには、何よりも要件に適合しているかどうかが重要です。技術・人文知識・国際業務の場合、職務内容と本人の経歴の関連性が最も重要になります。出入国管理局での審査は年々厳しくなってきております。外国人を雇用する前に、しっかりと要件と関連性の確認することをおすすめ致します。
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この記事の監修者
- たろう行政書士事務所 代表
外国人VISA、在留資格を専門に取扱う「申請取次行政書士」
専門分野:配偶者・国際結婚ビザ、外国人就労ビザ、永住申請、帰化申請
【運営サイト】
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