特定活動ビザ(本邦大学卒業者)
特定活動ビザ(本邦大学卒業者)とは
特定活動(本邦大学卒業者)は、2019年に新設された就労を目的とした在留資格の一つです。要件として、日本の大学を卒業し、高い日本語能力があることが求められます。就労ビザとして最もポピュラーな技術・人文知識・国際業務では制限されていた、一般的なサービス業務や製造業務等を含む職務内容が認められるのが特徴です。幅広い業務での資格の取得が可能となっています。
ただし、一般的なサービス業務や製造業務等がメインの業務でなく、大学等で学んだ知識や、応用的能力に加え、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用する業務である必要があります。
在留資格「特定活動」は、他のビザに該当しない活動に対して設けられた在留資格で、「告示」と「告示外」の2種類があり、告示されているものだけでも1~50号まであります(2023年現在)。特定活動(本邦大学卒業者)は告示された特定活動で、告示46号に該当するため、「特定活動(46号)」と呼ばれることもあります。また、日本語能力検定N1を求められるなど高い日本語能力を求められるため「N1特活」と呼ばれることもあります。どちらも特定活動(本邦大学卒業者)と同様のものとなります。
特定活動ビザ(本邦大学卒業者)の取得要件
特定活動(本邦大学卒業者)を取得するためには、学歴の要件、日本語能力の要件、業務内容の要件など、細かい基準が定められています。各要件について詳しくみていきましょう。
学歴要件について
学歴の要件として、日本の4年制大学の卒業及び大学院を修了している場合に限られます。技術・人文知識・国際業務で認められているような海外の大学を卒業していたり、日本の短大及び専門学校を卒業した場合は対象になりません。
現在、日本の大学にいる留学生からの変更申請だけでなく、日本の大学を卒業し本国に帰国した方や、別の就労ビザで働いている方も対象になります。
日本語能力要件について
特定活動(本邦大学卒業者)を取得するためには、かなり高い日本語能力を有している必要があります。具体的には、日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する必要があります。
大学又は大学院において日本語を専攻した方は対象となります。「日本語を専攻した」とは、日本語学、日本語教育学等に係る学部・学科、研究科などに在籍し、当該学問を専門的に履修したことを意味します。
業務内容の要件について
従事する業務内容は、技術・人文知識・国際業務では認められていない単純作業をすることは可能ですが、それに加え、日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務、大学等で修得する知識が必要となる一定水準以上の業務をこなす必要があります。
日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務とは、単に上司などから指示を受けてこなすだけの業務ではなく、自分から日本語を使って誰かに働きかけるような、双方向のコミュニケーションを要する業務である必要があります。
また、従事する業務内容には、単純作業だけでなく、商品開発、技術開発、営業、管理、広報など、一般的に大学において修得する知識を必要とする業務が含まれている必要があります。入社後、すぐに必要な業務という訳でなく、今後そのような業務に従事すると見込まれることで要件を満たします。
日本人と同等以上の報酬
外国人への報酬は、日本人が受ける報酬と同等額以上である必要があります。報酬の判断は、地域や個々の企業の賃金体系を基に、同じ業務に従事する日本人と同等額以上であるか、他の企業の同種の業務に従事する者の賃金を参考にして判断します。
昇給面においては、日本人の大卒・院卒者の賃金を参考とし、また、元留学生が本国等において就職し、実務経験を積んでいる場合はその経験に応じた報酬が支払われることが必要です。
具体的な業務内容
特定活動(本邦大学卒業者)として認められる具体的な業務内容をご紹介致します。技術・人文知識・国際業務では許可が難しい業務内容ですので、どちらの就労ビザにするか悩んでいる方は、ご参考にしていただければ幸いです。
飲食店
飲食店で、店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務。日本人に対して接客を行うことも可能です。
※厨房で皿洗いや清掃だけに従事する場合は認められません。
工場
工場のラインで、日本人従業員から受けた作業指示を、他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自分もラインに入って業務。
※ラインで指示された作業にだけ従事する場合は認められません。
小売店
小売店で、仕入れ、商品企画、通訳を兼ねた接客販売業務。日本人に対して接客販売業務を行うことも可能です。
※商品の陳列や店舗の清掃にだけ従事する場合は認められません。
宿泊施設
ホテルや旅館で、翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設、更新作業等の広報業務や、外国人客への通訳を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客。日本人に対する接客を行うことも可能です。
※客室の清掃にだけ従事する場合は認められません。
タクシー会社
タクシー会社で、観光客(集客)のための企画・立案や、自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動。通常のタクシードライバーとして乗務することも可能です。
※車両整備や清掃だけに従事する場合は認められません。
介護施設
介護施設で、外国人従業員などへの指導を行いながら、日本語を用いて介護業務に従事。
※施設内の清掃や衣服の洗濯だけに従事する場合は認められません。
食品製造会社
食品製造会社で、他の従業員と日本語でコミュニケーションを取りながら、商品の企画・開発を行いつつ,自らも商品製造ラインに入って作業を行う。
※単に商品製造ラインに入り、日本語による作業指示を受け、指示された作業にだけ従事する場合は認められません。
まとめ
いかがでしたか。特定活動ビザ(本邦大学卒業者)について説明致しました。就労ビザの取得を考える場合、技術・人文知識・国際業務では難しかった業務内容に対応出来るのが特定活動ビザ(本邦大学卒業者)のメリットと言えるでしょう。日本の4年制大学の卒業と、高い日本語能力というハードルはありますが、幅広い業務内容にも対応出来る就労ビザとして、今後取得される企業も増えてくるでしょう。
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この記事の監修者
- たろう行政書士事務所 代表
外国人VISA、在留資格を専門に取扱う「申請取次行政書士」
専門分野:配偶者・国際結婚ビザ、外国人就労ビザ、永住申請、帰化申請
【運営サイト】
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