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在留特別許可について



在留特別許可とは

「在留特別許可」とは、不法滞在等で本来は日本から退去強制される外国人に対し、法務大臣の裁量的な処分で、特別にそのまま日本に滞在することを許可される措置のことです。

特別在留許可は、法務大臣の裁量的な処分であるため定まった要件などがあるわけではなく、個々の事案ごとに判断されます。しかし、在留特別許可を受けた外国人の多くは日本人と結婚しているなど、日本との密接な身分関係があり、また、実体として既に日本に生活基盤を築いている状況にあります。在留を希望する理由、家族状況、生活状況、素行、人道的な配慮などを考慮し、総合的に判断されます。

2020年に法務大臣が在留を特別に許可した件数は1,478件となっています。在留特別許可件数を退去強制事由別にみると、2020年は不法残留が1,142件(77.3%)、不法入国・不法上陸が104件(7.0%)となっています。

不法滞在(オーバーステイ状態)になってしまうと

在留期限を過ぎて日本に滞在している外国人は不法滞在者となります。いわゆるオーバーステイ状態です。不法滞在者となってしまった場合、その後どのような措置が考えられるのでしょうか。

退去強制

日本に不法に入国したり、不法に滞在している外国人が身柄を拘束された場合、強制的に国外へ退去処分となり、最低5年間日本に入国することが出来なくなります。

出国命令

「不法滞在者」のうち、自ら入国管理官署に出頭するなど、一定の条件を満たした場合、身柄を拘束されず出国命令を受けて帰国した場合、上陸拒否期間は1年間だけとなります。つまり1年間の上陸拒否期間が過ぎれば、再度日本に入国することが出来ます。

【出国命令が利用できる条件】
① 自ら出入国在留管理官署に出頭したものであること
② 不法残留以外の一定の退去強制事由に該当しないこと
③ 窃盗罪等の一定の罪により懲役又は禁錮に処せられたものではないこと
④ 過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
⑤ 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること

在留特別許可

「退去強制」も、「出国命令」も、一度日本から出国する措置になります。出国する意思がなく、そのまま日本に滞在することを望むのが「特別在留許可」です。特別在留許可は、退去強制に対して異議の申出をすることで法務大臣の採決を受けることになります。申出が認められればそのまま日本に滞在することが出来ますが、申出に理由が無いと判断された場合、退去強制処分となり、5年以上日本に入国することが出来なくなってしまいます。

どの方法を選択するかは、慎重に考えるべきでしょう。

在留特別許可の許否判断

在留特別許可の許否の判断は、日本に住み続けたい理由、家族状況、生活状況、日本での素行、その他人道的配慮の必要性など、個々の事案ごとに総合的に判断するとされています。入国管理局では「在留特別許可に係るガイドライン」を発表しており、許可を考慮する「積極要素」と、マイナス面にはたらく「消極要素」を掲げています。

積極要素

「特に考慮する積極要素」
・日本人の子又は特別永住者の子
・日本人又は特別永住者の未成年で未婚の実子を養っていること(※親権がある)
・日本人又は特別永住者と婚姻が成立している(※同居、子供がいるなど)

「その他積極要素」
・自ら地方入国管理官署に出頭する
・永住者と婚姻が成立している(※同居、子供がいるなど)
・永住者の未成年で未婚の実子
・滞在期間が長期間に及び定着性が認められる
・その他人道的配慮を必要とする特別な事情がある など

消極要素

「特に考慮する消極要素」
・重大犯罪等を犯した
・出入国管理行政の根幹にかかわる違反又は反社会性の高い違反をしている

「その他消極要素」
・過去に退去強制手続を受けたことがある
・素行不良が認められる
・その他在留状況に問題がある など

出頭から結果までの期間

出頭から結果までの期間に明確な基準はありませんが、早くても6ヵ月程度、長い場合は1年~1年半、場合によっては2~3年かかることもあります。この期間は日本から出国することは出来ません。本国へ一時帰国することも出来ませんので、結果が出るまでは待ち続けましょう。

在留特別許可が認められやすいケース

在留特別許可に係るガイドラインには、在留特別許可をする方向で検討する事例を載せています。具体的に以下のようなケースは許可の可能性が高まります。

・日本人又は特別永住者と結婚しており、他の違反もなく在留状況に問題がないと判断された場合
・日本で長期間暮らしており、自ら地方入国管理官署に出頭し、他の違反もなく在留状況に問題がないと判断された場合
・日本で生まれ、10年以上日本に住み続けており、小中学校に在学している実子を扶養している場合 など

逆に、退去強制をする方向で検討する事例は以下のようなケースです。

・日本で20年以上住み続けているものの、不法就労助長罪、集団密航に係る罪、旅券等の不正受交付等の罪等で刑に処せられるなど出入国管理行政の根幹にかかわる違反又は反社会性の高い違反をしていること
・日本人と結婚しているものの他人に売春を行わせる等、社会秩序を著しく乱す行為を行っていること

在留特別許可の事例

出入国在留管理庁では、在留特別許可について適切な運用に努めるとともに、在留特別許可の透明性を高めるため、「在留特別許可された事例」と「在留特別許可されなかった事例」について、類型別に分類し公表しています。どういった事例が許可・不許可となったのか、ご紹介いたします。

配偶者が日本人の場合

在留特別許可された事例

発覚理由出頭申告
違反態様不法残留
在日期間約2年3月
違反期間約2年2月
婚姻期間約1年10月
夫婦間の子1人(未成年者)
刑事処分等
許可内容在留資格:日本人の配偶者等
在留期間:1年
特記事項
発覚理由出頭申告
違反態様不法残留
在日期間約2年1月
違反期間約2年
婚姻期間約2年
夫婦間の子
刑事処分等
許可内容在留資格:日本人の配偶者等
在留期間:1年
特記事項

在留特別許可されなかった事例

発覚理由出頭申告
違反態様不法残留
在日期間約2年8月
違反期間約2年7月
婚姻期間約2年1月
夫婦間の子1人(未成年者)
刑事処分等
特記事項婚姻・同居の実態が認められなかったもの。
発覚理由警察逮捕
違反態様不法残留
在日期間約7年5月
違反期間約1年3月
婚姻期間約2月
夫婦間の子
刑事処分等道路交通法違反により、懲役8月の判決
特記事項無免許危険運転致傷、道路交通法違反による執行猶予の前科あり。

配偶者が正規に在留する外国人の場合

在留特別許可された事例

発覚理由出頭申告
違反態様不法残留
在日期間約4年4月
違反期間約3年5月
婚姻期間約4年1月
夫婦間の子
刑事処分等
許可内容在留資格:永住者の配偶者等
在留期間:1年
特記事項配偶者は在留資格「永住者」
発覚理由出頭申告
違反態様不法残留
在日期間約10年3月
違反期間約7年3月
婚姻期間約3年5月
夫婦間の子
刑事処分等
許可内容在留資格:定住者
在留期間:1年
特記事項配偶者は在留資格「定住者」
配偶者には日本国籍を有する未成年の実子あり。

在留特別許可されなかった事例

発覚理由出頭申告
違反態様不法残留
在日期間約4年4月
違反期間約4年3月
婚姻期間約1年9月
夫婦間の子
刑事処分等
特記事項配偶者は「永住者」
婚姻・同居の実態が認められなかったもの。
被退去強制歴あり。
発覚理由警察逮捕
違反態様不法残留
在日期間約10年10月
違反期間約1年8月
婚姻期間約9年11月
夫婦間の子
刑事処分等窃盗未遂により、懲役1年の判決
特記事項配偶者は「永住者」
配偶者に婚姻継続の意思なし。
窃盗未遂による執行猶予の前科あり。

外国人家族の場合

在留特別許可された事例

発覚理由出頭申告
違反態様不法残留
在日期間約19年
違反期間約1年10月
家族構成配偶者:不法残留(在日期間:約13年、違反期間:約1年8月)
 子 :不法残留(在日期間:約12年2月、違反期間:約1年2月)・12歳
 子 :不法残留(在日期間:約12年2月、違反期間:約1年2月)・12歳
許可内容家族4人とも、
  在留資格:定住者
  在留期間:1年
特記事項家族全員で出頭申告したもの。
◎お気軽にご相談下さい

不法滞在でお悩みの方は、まずは当事務所にご相談ください。外国人ビザの専門家である行政書士が、お客様一人ひとりに最適な方法をアドバイスし、在留特別許可の取得を全力でサポート致します。初回無料相談も承っております。まずは電話又は予約フォームからお問い合わせください。

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この記事の監修者

本田 太郎行政書士
たろう行政書士事務所 代表

外国人VISA、在留資格を専門に取扱う「申請取次行政書士」

専門分野:配偶者・国際結婚ビザ、外国人就労ビザ、永住申請、帰化申請

【運営サイト】
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